統計:仕事を辞めた理由・転職したい理由ランキング。

Keiです。

今回は、“若年労働者”の

・前の仕事を辞めた理由
・転職したい理由

についてまとめてみました。

今回参照した統計データは主には厚生労働省による「平成25年若年者雇用実態調査の概況」によっていますので、興味があればそちらの方もご確認ください。

数字ばっかりなので退屈に感じると思いますが(笑)

>厚生労働省による平成25年若年者雇用実態調査の概況

ちなみに若年者雇用実態調査の有効回答数などは以下の通りです。

調査対象数:24,245人
有効回答数:15,986人(有効回答率65.9%)

※個人調査は平成25年10月11日から11月30日まで行われた。
「若年労働者」とは、満15~34歳の労働者を指す。

一応言っておくと、調査対象はあくまでも“現在事業所で働いている人”ですので、

・会社を辞めて現在ニートになっている
・そもそも会社で働いた事がない

といった人達の回答ではないという点はあらかじめ意識して頂ければと思います。

業種別:若年労働者の割合

まず最初に、若年労働者の占める割合が多い産業の1位~3位がこちらになります。

1位:宿泊業、飲食サービス業(43.7%)
2位:生活関連サービス業、娯楽業(40.4%)
3位:情報通信業(35.9%)

「宿泊業、飲食サービス業」がトップで、割と僅差で「生活関連サービス業、娯楽業」が入ってますね。

残念ながら平成28年の国税庁による「民間給与実態統計調査」によると、サービス系の業種って給料が少なかったりします。

業種別に見て最も平均給与が少ないのが「宿泊業、飲食サービス業」で、その平均値はわずか236万円

続く「生活関連サービス業、娯楽業」は345万円となっています。こちらは下から3番目に多いです。

平均給与の最も多い「電気・ガス・熱供給・水道業」の715万円と比較すればその差は歴然。

差を視覚的に見ればこんな感じに。

というわけで1位と2位は給料面から見てもヒドいですが、情報通信業はまだ給料的には平均575万円と、業種別に見れば「金融業、保険業」に次いで3位に位置しています。

「宿泊業、飲食サービス業」と比較すれば倍ぐらい多いですね。

過去1年で辞めた若年労働者が多い業種

お次は実際に辞めた若年労働者が多い業種ですが、こちらは先の割合から見ても予想通り。

1位:宿泊業、飲食サービス業(58.4%)
2位:生活関連サービス業、娯楽業(52.3%)
3位:情報通信業(52.2%)

「給料少ないし割に合わないと思った人が多かったんじゃない?」と言いたいところですが、こちらは単に

「それぞれの業種に占める若年労働者の割合が大きいから」

という要素も大きんじゃないかと私は思っています。

まあ、確かに給料が多ければ多いほど仕事がキツかろうが“お金”というモチベーションが存在するのは大きいと思いますが。

精神的・肉体的な辛さがあったとしても、その分それに見合う給料があれば頑張って働くと思いますし、“割に合っていない”と感じれば辞める人も多いでしょうしね。

若年労働者は何の為に働いているのか?

「何故辞めたのか」の前に、「そもそも何の為に働いているのか」については、こんなデータが出ています。

◆何の為に働いているのか?(3つまで回答)

1位:主たる稼ぎ手として生活を維持するため(49.3%)
2位:主たる稼ぎ手ではないが生活を維持するためには不可欠であるため(33.0%)
3位:自分の学費や娯楽費を稼ぐため(39.0%)

上位に来るのは全て“稼ぐ為”。

何というかこう見ると、

「本当は働きたくなんて無いんだけど、生活とか遊びの為には働かなきゃいけない」

という雰囲気が感じられます。

ちなみによく見る「自己実現」だとか「社会貢献」といった項目は割合が小さく、以下のようになっています。

・生きがい・社会参加のため(25.3%)
・自己実現のため(21.8%)
・将来のための技能・技術の習得のため(18.4%)

と言っても、多くの人にとって仕事は人生の大半の時間を占めるものですから、仕事を“自己実現”や“生きがい”に繋げたいと思っている人はそれなりに多いんじゃないでしょうか。

それ以前にどうしても「生活するにはお金が必要」という、当たり前の話が出てきてしまうという事だと思います。

「会社を辞めた理由」ランキング

さて本題の、初めて勤務した会社を辞めた理由のランキング(複数回答)はこちらになります。

1位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(22.2%)
2位:人間関係がよくなかった(19.6%)
3位:仕事が自分に合わない(18.8%)
4位:賃金の条件がよくなかった(18.0%)
5位:会社に将来性がない(12.4%)

こちらのランキングの順位は前回の調査とは入れ替わっていて、平成21年の時点ではこんな感じになっていました。

<前回(平成21年)の調査>
1位:仕事が自分に合わない(24.5%)
2位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(23.8%)
3位:賃金の条件がよくなかった(20.9%)
4位:人間関係がよくなかった(20.1%)
5位:会社に将来性がない(14.2%)

会社で働く人の意識そのものが変化したのか、それとも標本の違いによって生じた差かはよく分かりませんが、“自分に合った仕事”よりも“労働時間・休暇”を重視している人が増えているようです。

最近では特にブラック企業だとか長時間労働が問題視されていますので、この次の調査でも同じように1位は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」になるんじゃないでしょうか。

もちろん、一口に“労働時間・休日の条件”と言っても、

・労働時間そのもの
・勤務する時間帯
・年間休日日数
・休日になる曜日

など色々考えられるので、一概に“労働時間の長さ”や“休日の少なさ”を問題視しているとは限りませんが、先ほどの働く理由と併せて考えると近年の若年労働者は、

・長時間労働したくない
・もっと休みが欲しい
・生活を維持する為に稼ぐ必要がある

と考えている傾向がある・・・と言えるしれません。

なんか疲れたサラリーマンみたいな感じですね(笑)

「転職したい理由」ランキング

というわけで次、若年労働者が転職を希望する理由のランキング(複数回答)がこちらになります。

1位:賃金の条件がよい会社にかわりたい(44.6%)
2位:労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい(40.6%)
3位:自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい(36.7%)
4位:仕事が自分に合った会社にかわりたい(36.3%)
5位:将来性のある会社にかわりたい(29.5%)

転職を希望する人の場合は、“労働時間・休暇”よりも“賃金”の方を重視する傾向があるようです。

ただしその割合は大きくは違いませんので、結局求めているのは主に“お金と休日”だという事ですね。

ちなみにこちらが平成21年時点でのランキングです。

<前回(平成21年)の調査>
1位:賃金の条件がよい会社にかわりたい(46.7%)
2位:仕事が自分に合った会社にかわりたい(38.4%)
3位:労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい(37.1%)
4位:自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい(33.1%)
5位:将来性のある会社にかわりたい(29.8%)

平成25年のランキングと比較すると、“より良い給料”を求めているという点では変わりませんが、労働時間・休暇よりも“自分に合っている仕事”をより重視していたようです。

この辺りの若年労働者の意識の変化は会社を辞めた理由ランキングの方と共通していますね。

ちなみに、2016年のエン・ジャパンの「退職理由のホンエとタテマエ」によると、最も多かった退職理由は「人間関係」だったようです。

こちらのデータについては、

・アンケートの回答者が1515名である
・対象を若年労働者に限っていない
・複数回答ではない

という点から「若年者雇用実態調査」との単純比較はできませんが、人間関係が原因で退職したいと思っている人も相当数いる事が分かります。

むしろ複数回答でない点を考慮すれば、人間関係に悩んでいる人の方が多い可能性もあるかもしれません。

おまけ:企業は労働者に何を求めているのか?

ついでにこちらの情報も是非ご覧ください。

企業が新規学卒者(学校卒業後3年以内)の正社員を採用する際に重視するポイントだそうです。

1位:職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神(82.9%)
2位:コミュニケーション能力(67.0%)
3位:マナー・社会常識(63.8%)
4位:組織への適応性(54.0%)

こうして見ると「うーん」って感じがします。

企業の方はコミュニケーション能力や組織への適応性を求めながら、一方で労働者側は仕事が自分に合わなかったり人間関係の問題で辞めたりする・・・。

勤労意欲や職業意識と比較すれば、「業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力)」を重視する企業は33.4%と圧倒的に少ないのも気に掛かります。

結局のところ上記のポイントを重視していると言っても、大抵は“面接試験”のわずかな時間で判断しなければならないわけですから、そんなの大して当てにもなりません。

ですので、私としては日本の大学で学ぶ学問の価値に疑問を抱くと同時に、欧米の大学のようなシステムの方が効率的ではないかと思う次第です。

欧米の大学は、会計学、経営学、HR(人事学)、ITなど、日本よりも職業の領域と密接に結びついた専攻が多く、学生のうちから目指す職務の専門知識を得たり、長期のインターンシップやCo-opプログラムといった職業経験を積む。

また、職種ごとの職業団体の学生会員として情報を得たりすることが可能である。

欧米学生の多くは、大学を卒業した時点で“まったくの未経験者”ではないのである。

大学教育の仕組みが、新卒一括採用システムを採らなくても、新卒者が仕事を獲得できる背景の一つとなっている。

引用:「新卒採用」の潮流と課題 – リクルートワークス研究所

ちなみに、とてもそうは思えないのですが「学歴・経歴」を重視する企業は26.0%となっています。

約74%の企業が「学歴・経歴」についてはさほど重視していない、と言い換える事ができるわけです。

履歴書に大学名を書く以上、採用担当者がそれに影響されない可能性なんて100%考えられませんので、こういった部分も“本音と建前”と言えるかもしれませんね。

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